Shogi 研究ノート(77桂型角換わり)

1級〜2段あたりの棋力をウロウロしているやつの将棋研究ノート

先手四間飛車対抗系①(編集中)

〈概要〉

四間飛車は、ノーマルなら簡単に居飛車が優位に立てるが、四間飛車側が自由に形を変えることで難しくすることが出来る。



【基本形】

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どの形でも金上がり→銀上がり→36歩から組む。
持久戦の方が結果的に四間飛車の自由度が上がってしまうので、急戦にせざるを得ない。
例えば、対振りミレニアムに対してこんな対策がある。

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△居玉の燿龍四間飛車から、中住まいにして桂頭を狙う。
こうなれば四間飛車の術中だ。
逆に言えば合理的な四間飛車は "組ませて戦う" べきなのだと思う。

とはいえ、常に急戦を狙うわけではなく、勝ちやすい時だけ急戦を狙うことになる。



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【基本①】

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△別に自分が指すわけではないが、人気のへなちょこ急戦について。以前の記事に書いた通り、37桂や78玉で左銀に紐が着く前に46歩と反発すると、四間飛車側から両取りがあり歩損してしまう。ここだけ注意。


【基本②】

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△急戦斜め棒銀は有力。
ただ、32金、62玉型では銀をスカして、もつれる戦型に変わっていく可能性が高く、難しいので指さない。

持久戦を目指しつつ、〈隙あれば斜め棒銀〉〈居飛車ミレニアム〉/〈居飛車ミレニアム〉〈その他(角道閉じエルモ囲いなど)〉の四択を考えながら指していくことになる。



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【パターン①早めの45歩】

まずは、基本形の対策に出来ない45歩型の四間飛車について見ていく。

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△金上がりの形から押さえ込みを目指す。
持久戦も急戦も狙えて、個人的にこの形が好き。


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【パターン②角を銀で受けてこない】

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香車を取らせて、こちらは歩を成る戦型を目指す。
最難関という程でもないが、簡単そうで実は変化が多く、四間飛車側にとってはそこそこ楽しさもあるような、互いに研究しがいのある戦型になる。
以前のブログでも紹介したが、歩成れて良くなるように見えて、すぐに桂を取ると馬を引き付けられ悪い。

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【パターン③🌟(ちょい難)王一手入ってから45歩】

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変化が多く厄介。例えば45歩の後に37桂は、角交換されてこれくらいで、あっという間に四間飛車から主導権を握られてしまう。
その他の変化も完全力戦に持ち込まれ、悪くはならないが難しい。先手番で捻りあいにはしたくない。


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△ということで、角道を閉じる。
飛車先の歩を付かれてもこちらからは取らない。
パターン①と同じく56歩を付いて金銀を盛り上げていく。

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△この形にさえしてしまえば、四間飛車から間に合う攻めはなく、逆に32銀が離れた時点で、居飛車は45桂ピョンから攻める権利を一方的に得ることが出来る。
もちろん穴熊にも組めるし、松尾流穴熊にも合流出来て申し分ない。
振り直して工夫してくる四間飛車にも対応可能。


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【パターン④ノーマル藤井システム

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棒銀にしてみると、評価値だけ見たら良さそうだが、形的には四間飛車も申し分なく、中盤が難しすぎるくせにちょっと良しになるくらいなので指したくない。


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△一旦86角と上がることで、端歩突き越し四間飛車では、必ず居飛車穴熊が間に合う。
四間飛車居飛車に戻せるが、固さで勝ちやすいだろう。

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△ちなみに、焦った藤井システムのこれは〈斜め棒銀〉が刺さる。

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【パターン⑥🌟🌟🌟(難)端保留藤井システム

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居飛車穴熊が間に合わない。
基本的な考え方は〈急戦斜め棒銀〉〈居飛車ミレニアム〉の二択になるが、居飛車側が複雑な序盤を強いられるので、厄介な戦型のひとつになる。
(ソフトはいつでも急戦で斜め棒銀を狙うが、その後の変化が複雑すぎるので、常に人間が勝ち切るのは難しい。よって、変化が簡単な形だけ〈急戦斜め棒銀〉を目指す。)

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△居玉なら金がいても99%〈斜め棒銀〉が刺さるようだ。
四間飛車としては捻りたいところだが、飛車のコビンが空いているので複雑な展開がないので、入城するしかない。

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△37歩に対して玉を入った場合、端放置で〈居飛車ミレニアム〉に。中盤の主導権は居飛車



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【パターン⑦🌟🌟🌟🌟(かなり難)アゲアゲ四間飛車

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藤井システムの流れでは、アゲアゲ四間飛車(袖飛車)もあることに注意。後手番らしい戦型保留から先手の隙を狙えるため、大変有力な四間飛車

銀で受けて角を引けるこの形に作れれば良いが…
アゲアゲさんのようにお互い一見楽しく指せそうだが、実は〈居飛車穴熊〉を後手後手にすることが出来て、四間飛車が主導権を握れる面倒臭い戦法。というより実は"袖飛車" が単純に主導権を握れて強いのである。
居飛車ミレニアム〉も桂頭が弱いので組めないし、居飛車は丁寧な序盤と工夫を強いられて厄介。


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△ただし、アゲアゲ四間飛車の右四間飛車バージョンは、居飛車のシンプル斜め棒銀が厳しい。


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【パターン⑧🌟🌟🌟🌟(かなり難)燿龍四間飛車

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△「松尾流穴熊にしたところで……」となるのがこの四間飛車の怖いところ。ソフト的には最善手で受け続ければ+600以上の評価なのだが、人間にはプロでもない限りまず不可能。

将棋をやっていて思ったこと



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「将棋」というか、世の中の好きなこと、熱中出来ることすべてに言えることだと思うんですけれど、その分野のパフォーマンスって、自分自身の「好き度」に物凄く比例すると思うんです。

好きであればあるほど、メンタル論とかそういう話ではなく、現実の身体能力やパフォーマンスが上がるというか、身体が応えてくれる。


なんか、薄々は分かっていたのですが、俺は別に将棋が好きじゃないんですよね。
どうしても上手くなれなかった。
楽しいし、研究欲はあるんですけれど、どちらかというと研究そのものを楽しんでいる。
結局、そこが自分に出来る将棋のパフォーマンスの限界なんだと思います。

俺は将棋とはまったく別分野の "好きなこと" を持っていて、自分が将棋に向いていないことを悟るにあたって、逆説的に将棋とは比べものにならないくらい、好きなことについてはパフォーマンスが高いということをさいきんひしひしと感じるんです。もちろん、向いてる向いてないもあるのでしょうけれど。

藤井聡太くんという異次元の存在がいて、その中間のアマチュア強豪棋士ですら、手の届かない深さみたいものを将棋には感じていて。その深さそのものが、まさに将棋の「読みの深さ」に比例しているような感覚すら覚えています。興味や好きの浅さが、自分の読みの浅さ。
好きなことならむしろ、誰の手も届かないところにいけるんじゃないか、とすら思ったりすると思うのですが、残念ながら将棋ではそれはないみたいです。ただ、研究は楽しいので、飽きるまでは時々、仕事に支障がない程度にはやろうと思います。たぶん、今後も棋力そのものがグンと上がる可能性は低いと思いますが。


その分野に真面目に向き合えない、好きになりきれないということは、それだけ自分の能力を曇らせてしまうのだなあと、真摯な棋士の方々や、自分の棋力を振り返って思うのでした。

せめて、自分の好きなことでは、こういう感覚や体験を反面教師にしたいですね。
ちゃんと好きなことを好きになって、読みを深めたい。


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先手番・対四間飛車急戦 ①(編集中)

【概要】

個人的にメインとしたい対策は、すぎうら氏の愛用する "45歩早仕掛け(へなちょこ急戦)" だ。局面の再現率の高さ、研究の絞りやすさなど、特に低段者同士での将棋での対策としては個人的には申し分ない。
より良い変化がありそうなら掘り下げつつ、色々な形の四間飛車に対しての目に付いた局面を調べていく。


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この戦型大好きなんだけど、もっといいネーミングなかったんですかね……




⚫最序盤の基本形

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基本的には俺は☗36歩から突くので、ノーマル四間飛車に対しては先手だと大抵はこの形になる。
この形からの変化を見ていく。

ところで、へなちょこ急戦には以下のタブーがある。


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玉を寄らないまま歩を付いてへなちょこ急戦を目指したとき、いきなり歩を突き返す手があり、一歩得され面倒くさい。歩を取れば両取りがある。必ず桂を跳ねるなり玉寄るなりしてから☗46歩としなければならないので、早々に四間飛車が☖45歩型とする捻った戦型ではへなちょこ急戦は狙えない。
よって、ひとまずはそれらの形を少しだけ見ていく。



⚫いきなり45歩

以下は四間飛車側が上手くいきづらい戦型だ。


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ほぼ最速のちょっかいだが、さすがにやりすぎだ。
基本的には、両取りを餌にしてと金を作り、角を打ち返して香車を取らせるだけで良い。

しかし、実は馬筋が効いているときに桂を取る、画像の3枚目のような近視眼的な手は大悪手だ。
と金取りに馬を寄せて、飛車交換を挑んだり、香車で飛車道を遮ったりして、居飛車の駒の働きを抑えこみつつ、馬作りだけが残ってしまう。四間飛車側だけ穴熊に組んだりも出来るだろう。居飛車はひとまずと金を温存する。

まあないと思うが、似た変化になったら四間飛車は桂馬を餌として置いておこう。(ちなみに馬での桂取りは、居飛車がと金入れて良し。)
そ、そんな餌につられクマー。


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四間飛車が馬を引き付けてきたら、☗55角で馬を消しにいこう。馬消しに5筋を突き返されたら、☗15角か26角で、と金の入る手や、更に馬取りを強要。その後に飛車を回られるが、丁寧に指せば勝ちやすそうだ。


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ただしこの筋には要注意。この惑わせの歩は罠で、下手に相手すると手が遅れ、と金が作れず互角に戻る。四間飛車にと金を作られそうだが、先に☗55角と取れることを見落としやすい。



⚫32金型45歩突き四間飛車

独自路線四間飛車ならこんな戦型も。

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評価値も悪くなく、力戦への誘導権を持たれなかなか面倒くさい。この類いの戦型に関しては、個人的には角道を閉じて形を収束させ、研究を一貫させる方が無難な気がする。(編集中)




⚫燿龍の45歩突き

マチュアでへなちょこ急戦は俄に流行りだしているそうだが、逆に四間飛車側から45歩を仕掛けられたらどうするのか。

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この形限定ではあるのだが、へなちょこ急戦の形を作っても、☗68玉型だと四間飛車側から仕掛ける筋が発生してしまうらしい。これは良くない。
燿龍四間飛車の可能性を考えると、最初に述べたようにへなちょこ急戦の前に玉は寄っておく必要がある。
ちなみに☖ 燿龍四間飛車側は、32金型よりはふつうに32銀型の方が良い。(編集中)

後手番・後手35歩戦法 / 新無敵囲い(概覧)


【概要】

後手番対居飛車。新無敵囲いというけど囲いではなく戦法名で、シンプルに言うと35歩からの陽動居飛車である。
後手番の強みである戦型保留を最大限に活かして、級位者を思わせる早石田風味の駒組から速攻に来るかと思わせて、そのままフラフラと駒組していく。


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無敵囲いで検索したら出てきた。





⚫序盤の狙い

角道を閉じるハチワンシステムと考え方や筋が似ているが、こちらは角道を開けているので、☖らしいカウンターと戦型保留、餌の35歩による局面誘導のしやすさなど、すべてのバランスが割と良い。

ちなみに先手では32銀型のメイドシステムのような相居飛車を採用しているのだが、後手番でやらない理由は、角道を開けた方が戦型誘導がしやすいことと、相手に☖の意図を先に見せてしまうと戦型保留がしづらいためである。単純に棒銀でも受けの展開になる上に、手が広い。

手が遅い後手番の唯一の強みは、☗が方針を先に示して出くれることだと考えている。どうぶつしょうぎが後手必勝なのは、先手が先に方針を出してしまうからである。☖としては後出しジャンケンがしたい。



細かい分岐は書かないが、この戦法は居飛車かと思いきや振り飛車、かと思いきや居飛車、かと思いきや振り飛車という形になっていく。

☗が仕掛けを恐れて角を取らなくても、角道を閉じても、角を積極的に打ってきても、こちらが研究に持ち込める。カウンター戦法なので、相手の戦型によって正確な指し手を知らないと全く良くならないし、☗に対して互角以上の形勢を作るのが目的で、一瞬で崩壊させるような筋があるわけではない。とはいっても、変な手を指すと☗はすぐに悪くなるし、早指しならば後手で先手を迷わせられるくらいでも本望だ。そもそも、悪い評価値以上に互角の展開になる。


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ここが基本図として、次の手は凡そ角打ちを防ぐ☖62銀となる。これが新無敵囲いだ。相居飛車ならそこそこよく見る形ではある。
この形から、☖は相手の自然な駒組を咎めていく。☗が銀を上がる急戦調の手には手順の前後ですぐ悪くなるので気をつけたい。また、単にすぐ無敵囲い風の形を作ると、☗36歩から普通の展開にされやすい。先に35歩を付けば、角換わりの変化で先に36歩を突く狂人以外には研究形になる。

先に☗36歩と突かれたら、飛車先不突きを活かして袖飛車に。この戦法では袖飛車の変化になることが多いので、後手番の方は研究が活きてくる。普通の相手は受け方を知らない。



⚫56歩と突かれた場合

すぐ☗56歩から歩を取りに来る以下の形だけは、普通に早石田にしたほうがよさそうである。


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この手順の後手番早石田のポイントは、32飛戦法と違って戦型が固定されていることと、43戦法のような手損がないことである。

なんか怖そうだから穴熊や、と言わんばかりに穴熊にされると、ソフト的には☗はかなり怪しくなる。一直線穴熊的な展開はこちらが形を作れるだけなのである。

☗38金や☗27金という手も考えられるが、☗は囲いや攻めが伸びなくなるし、形が限定されていることで、一方的に形の研究が出来る☖が良くなりやすいと思う。しかも、そこから☗が穴熊に組むと評価値は既に-100くらいになる。穴熊の評価低すぎワロタ。



棒銀にされた場合


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ここからシンプルな振り飛車にすることはあまりなくて、まっすぐな居飛車か袖飛車にする。評価値は悪いと出ているが、暫定評価である。こちらは研究形だし、ある程度進むと良くて +200 くらいに落ち着く。ソフトの最序盤の評価は全く信用ならない。
☗☖36歩同歩となる場合だけは、向飛車や三間飛車の変化がオススメらしい。

次の形は、相手が22歩を打つ変化である。


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この形は途中まで☗+300くらいと出るのだが、先手が最善を尽くしても結局は良くて☗+200くらいに落ち着く。

基本的には☗が舟囲いなどの左玉にしたら、どうやっても後手の袖飛車が間に合ってしまう。こうなってみると、☗は囲いが疎らで、攻めにあと2手、3手とかかりそうなのに、こちらは無敵囲いが手をつけづらく、すぐさま研究の攻め手順に持ち込める。以下は一例である。


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調子よく馬を作っても互角。むしろ、+300もあったはずの☗が怪しくなってきた。
この形では金を上がって矢倉形になっているが、すぐさま銀を上がって攻めに行くと、左に成られて悪いようだ。右は飛車が効いていて駒が取れないし、飛車を取っても打ち込む隙がない。

俺は角を打たせる変化を好んで使うのだけれど、その理由として、ちょうど良い応手が大抵はあって、相手の馬作りや角打ちが疑問手になる場面が極めて多いというのがある。何より馬を作られる筋は限られていて研究しやすいため、こちらはちゃんと主張のある形にしやすい。骨子は "角を打たせること" と言っても良い。
角打たれの変化についてはめんどくさいので省略。


https://youtu.be/IAth6htn9to


水匠3改同士の検討動画。
あまりなさそうだが、矢倉にしてきた場合の変化だ。

☗+100 〜 +300 くらいのまま進行し、途中の☖78銀打が疑問手だったようだが、応手を間違え互角に。
これくらいすぐに攻めが決まるので、振り飛車だろうと決めかかって角道を閉じたり、穴熊に行ったりするのはちょっと自殺行為に見える。とはいえ矢倉に対しては、もうちょっと勝ちやすい攻めがある気はする。

戦法選択まとめ(編集中)

まじで戦法ちゃんとしないと一向に勝てないのでまとめた。



【基本的な考え方】

・局面を誘導する
・主導権を握る

基本的に、この二点が肝要。

とくに低段位者のアマチュアなら、終盤で逆転出来るほどの棋力なんかどうせないので、序中盤で差を付けたい。

俺の平均棋力は初段〜二段くらいだけど、些細な序盤研究がハマって結構あっさり三段に勝ったりする。それくらい超序盤型でいいやという感覚。

序盤に一見攻められて主導権を握られてるじゃんという戦型でも、その攻め自体が研究通りなら主導権を握っていると言える。わざと責めさせて良くする戦い方をするのも戦法選択のひとつの考え方だと思う。

ところで、序盤にって書くとジョバンニって毎回出てくるな。将棋ウォーズのユーザー名ジョバンニにしようかな。


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⚫先手番戦法選択の考え方

先手は必ず、主導権を握らないといけない。
とはいえ、世の中のたいていの人間は何も考えてないアホなので、力戦バカでもない限りは同じような戦型を指してくれる(口悪)。変に凝らずに、その特性を利用しよう。

先手でも後手でも局面誘導は必須。
だが、もしも☖がアホみたいな振り飛車とかをしてきたときにも、☗は対応策に最低限の勝負手の対策を持っておいて考えさせて、先手らしさの活かせる展開にしたい。そうしないと、先手番である意味がない。

アホみたいな力戦でも、最低限は考え方が分かるくらいにはどんな戦型も並べておくのが個人的には良いと思う。力戦と言っても、メジャーな力戦将棋なんて大抵は穴角とか一間飛車とか金銀もりもり森鴎外みたいに、一般的な考え方の枠内にあるからだ。

例えば、横歩取りが出来るなら、☖にあえて45角戦法を指させて、研究されづらい勝負手を用意して、時間を使わせる。自分から選択出来る局面で現れる滅多に出ない変化の方を、簡単に研究を打ち切らず、どんな手にも対応出来るくらいみっちり深く読む。
そうすれば、45角戦法みたいなドM(ドS?)戦法を得意にしている人にも上手くやれるだろう。俺はやらないけど。

人間の性に乗じて、先手番らしい局面支配を目指そう。




⚫後手番戦法選択の考え方

先手番の考え方から言うと、後手番は、奇抜すぎるくらいに先手が知らない局面にしていい。平易な局面だと、簡単に☗に誘導されてしまう。

☗の場合は、先手番ゆえの戦型誘導の上手く行きやすさからわざわざ奇抜な戦型にする必要はないのだけれど、☖側になってみれば似たような戦型では容易に局面を誘導されてしまうので、☗の意表をつかないといけない。先手番の優位である "局面誘導のしやすさ" "主導権の握りやすさ" をフラット以上にしないといけない。意表をつけば、心理的にも時間的にも優位を取って、研究を外れても後手番は十分に戦える。

もともと☖は、☗の攻めに怯えながら、細心の注意を払った駒組をしないといけない上に、先手番で出来た戦法(こいなぎ流右玉とか)も、後手番だと先に攻められやすく、少し勝ちづらくなってしまう。奇抜すぎるくらい狂った戦型ならその心配はない。

じゃないと、45桂速攻とか、☗の局面誘導にまんまと誘導されて、いつものように容易に攻められたり、時間を使わされることになる。後手番はとにかく先手を困らせて、時間を使わせないといけない。
わけわからん早石田とかが一番困る理屈である。

研究めんどくさ、と言う場合は、序盤の手順と中終盤の知識を蓄えて、後手番穴熊を指すのが実践的にも研究勝負に持ち込めるだろう。まったくもって奇抜ではないが、戦型はそこそこ限定されるし、寄せ方も研究しやすい。王道が好きならベストだろう。ただし、高段者だと手順や局面は複雑化するように思う。

同じく王道なら、飛車先不突きの一手損角換わり右玉で互角以上の戦いを目指すのも好みだ。ただ、低段者には余裕を持って戦えても、上級者になるほど見慣れた戦型になれば研究を外してきたりするので(速攻とか、対右玉中住まいとか)難しくなることも多い。
ゆえに極端なくらいに戦型を絞れない戦法は後手番では採用したくない。
個人的には、アホみたいな振り飛車を指してみたい。本気のおふざけ戦法である。


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【先手☗の戦法選択】


✳先手番全般
まず、☗1手目飛車先、☗3手目角道、☗5手目飛車先、の手順はほぼ絶対。
矢倉などの変化を消しつつ、角換わりにも組ませず、後手の駒組を牽制するためである。どうしても角換わりがしたいなら一手損してこいと言うのである。

☗77歩の角道は、本来的にはすぐに指す必要のない不要不急の手だ。
個人的には45桂速攻がやりたいので角道は☗5手目で開けるのだけれど、角道をすぐに開けなければ、糸谷流四間飛車超急戦みたいな変化も出てくるので、先手としては都合が良いタイミングで飛車先を開けた方が本来的には戦型の抑制がしやすい。とくに角交換型の将棋が好きな相手はなかなかしんどいだろう。俺はやらないけど。
てか先手番全般ってジョイマンっぽいな。



⚫77桂型角換わり(角換わり)
先手にしか出来ない変化が多く、角換わりゆえに研究局面に誘導しやすく、さらにそこそこ奇抜という、個人的に理想的な戦法。
そもそも、駒が自由な動きをする戦型が好きなので、桂や飛車角がピョンピョンするんじゃ〜〜という感じで動き回るのは、指しこなせたらさぞ楽しいだろう。いまのところ俺以外にこの戦法に興味を持ってる人は知らない。


⚫未定・角換わり保留対策(角換わり)
すぐには角を交換してこない人も多いので、その場合には角交換保留型の研究もしっかりやりつつ、ノーマル右玉を目指す。鎖鎌銀など。この流れもアマチュアではそこそこ出てくる変化のひとつ。初段あたりでは、角交換保留して速攻で銀を突っ込んでくるひとがけっこう多い。


⚫角換わり45桂速攻(角換わり)
45桂速攻のスペシャリストになりたい。
角交換したら、☗48銀(38銀) → ☗36歩からすぐに☗37桂を用意する。先手番なのにチマチマと矢倉を完成させたりするのは、アマチュア的には先手の主導権の優位を放棄しているも当然なので嬉しくない。最速の45桂速攻を見せておく駒組は、先手としては一気に主導権を握れるベストな手順だと個人的には思う。受けを考えて時間を使ってくれやすいのも楽しいところ。

45桂速攻を勉強する利点は、他にも、相手の45桂や65桂が成立するかどうかが分かりやすくなるというものもある。俺は後手では角換わりを指さないけど、先手で65桂をされることはアマチュア三 〜 四段でもけっこうあるので、無理筋の暴れ方まで知っているくらいスペシャリストになっておけば、先手角換わりでは生涯的に優位になれそう。


⚫ノーマル右玉(角換わり)
shodanさん流の攻める右玉。
基本の勝ちパターンは序盤で優位を取り、左から右に寄せていくことだ(しかも実現しやすい)。

先手の優位性が大事とか言って右玉とかどうなの、って気もするけど、右玉側としては初めに言ったように、相手に同じ形を組ませてやる、攻めさせてやるっていうのも大事な考え方だったりする。あえて早繰り銀をさせて、出来た隙に角を打ち込むとか。
対右玉中住まいにしても、shodanさんの動画を見る限り、右玉側が嬉しくなる戦型はそこそこあるようだ。それさえ対策されていたとしたら、まあ互角の勝負で一局である。全体への勝率を高めるのが目的なので。

羽生式右玉は個人的に指してみたいのだけれど、プロっぽい曲線的な刺し回しが出来ないのにわざわざ指す必要があるのかという気はする。65桂速攻への対応がしやすそうなら羽生式右玉でもいいかもしれない。


⚫未定(右玉 / 中住まい対策)
基本的に金銀もりもり森鴎外系の形への対策も含む。


⚫① 相掛かり左美濃(角道保留相掛かり)
飛車先を金でなく銀で受け、歩も受けない独自研究
(後手が角道を開けていなかったら、居飛車なら大抵は①相掛かり、②雁木、③嬉野流、④引き角、⑤雀刺し。振り飛車なら⑥33金型振り飛車、⑦中飛車のどれかが多い。
全体の方針としては、メイドシステムじみた☗78銀からの相掛かり美濃と、即☗38銀か早繰り銀、棒銀、こいなぎ流右玉、後出し角換わりを使い分ける。)

この戦法は、安易に飛車先を交換すると罠にハマりやすいし、かといって後手は早い棒銀を受けることも難しい。強烈な狙いがある訳ではないのだが、都成流のように振り飛車にする筋もあるし、先手番の手の速さと研究を生かすことが出来そうである。ただし、ちゃんと研究しないとすぐに死ぬ。

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⚫② 角道開けとくだけ(33金型雁木対策)
33金型からは歩を取られてしまうため、後手は上手く雁木に出来ない。以上である。
まあ、歩を取らせて無理やり4筋を突けば雁木に出来なくもない。とはいえそれは比較的対策がしやすいし、普通に早繰り銀とかで良くなりそうである。


⚫③ 速攻棒銀(嬉野流対策)
こいなぎさんが動画で紹介していた要領で、速攻棒銀から崩す。☗23歩からの攻め筋も紹介していたが、ちゃんと研究すれば嬉野流側にそこそこの選択権があるので、後半に紹介していた棒銀がシンプルイズベストだ。ちなみに☗23歩の対策として、普通の嬉野流を諦めて即中飛車にしてくる戦型で狙い筋が出来ず、難解になるので嬉野流側としても楽しめる。

5筋の横歩を取ってしまう手もあるが、飛車交換から☗2筋の自陣飛車で、嬉野側が最善手を指し続ければ嬉野流の方がやや楽しみが多い。


⚫④ 相掛かり美濃(引き角対策)
こちらも相掛かり美濃で良し。
まず指してこないだろうけど、こっちも相掛かりで相美濃にして引き角にするぜ〜〜!という戦法には、どうやら些細な変化で先手がめちゃくちゃ良くなるようだ。例えば、飛車先交換が御法度で、左美濃の弱点をすぐ突きに行ける。飽くまで先手相掛かり限定で、速さを活かすのが相掛かり左美濃らしい。


⚫⑤ 未定(雀刺し、端攻め)
ちょっとだけ調べたが、完成形まで遅すぎてそもそも☗のシンプル早繰り銀等に対して受け一方になりそうだった。


⚫速攻早繰り銀(通常雁木対策)
雁木に対して最も変化が少なく対策しやすいのは先に述べた速攻早繰り銀だ。プロ間で採用されているらしく、比較的序盤なので変化も研究しやすいと思う。

⚫未定(矢倉対策)

⚫未定(右四間飛車対策)

⚫未定(袖飛車対策)

⚫こいなぎ流右玉(中飛車対策)

⚫未定(かまいたち中飛車対策)

⚫へなちょこ急戦(振り飛車全般対策)
基本的に決まらない形もあるのだが、おおよそのノーマル振り飛車に対してはシンプルな45歩早仕掛けがよく効く。ただし、手順を工夫されると困ることもあるので、そのへんは考えどころではある。


⚫未定・持久戦(四間飛車対策)

⚫未定(三間飛車対策)

⚫未定(石田流系三間飛車対策)

⚫未定(鬼殺し系三間飛車対策)

⚫未定(向飛車対策)

⚫未定(角交換振り飛車対策)

⚫未定(一間飛車対策)

⚫未定(九間飛車対策)

⚫未定(陽動振り飛車対策)

⚫未定(筋違い角対策)

⚫未定(奇襲棒銀対策)

⚫未定(二枚銀対策)

⚫未定(五筋位取り対策)

⚫未定(アヒル戦法対策)

⚫未定(穴角戦法対策)



【後手☖の戦型選択】


✳後手番全般

超オリジナル戦法が多めである。
理由としては先に述べた通りで、先手番に対して後手番の価値をフラットにしてしまいたいからである。主導権を握るには、誰も知らない戦型に持ち込むのが持ってこいだ。何より、後手番は一手分はやく相手に指させるので、細かい研究が一手分楽なのだ。自分しか知らないカオスな局面の中に引き込もう。


⚫新無敵囲い
⚫36歩突き捨て型早石田

居飛車。この二戦法は表裏一体である。
角換わり形では新無敵囲いになる。
対する横歩取り形では早石田形が間に合うので、36歩突き捨てで研究を外しつつ、後手早石田を目指すのである。

先手番・77桂型角換わり(概覧)

【概要】

横歩取りぜったいやりたくねえ〜」と思っていたら見つけた素敵な戦型。横歩取り調の出だしでも、角を上がって無理やり77系型の角換わりにしちゃう。

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33金型早繰り銀じゃないよ。



⚫序盤の狙い



横歩取りの出だしでこのように角を上がる。
この時点では☖も大抵は金を上がっているが、上がっていない場合は独特な序盤変化の可能性が出てくるので、先にそちらを解説。


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ソフト的には左銀は☗88銀として菊水矢倉にしたいそうだが、この場合は銀を放置して歩を受け、飛車先を優先してみよう。

横歩を取ると角打ちの隙などが見えるのだが、それが実は罠であり、+100 〜 +600 くらいの変化が出てくる。(序盤の罠にハマらなくても、戦型が固定しやすいし、受けの展開か既知の展開にさせやすいので、+50 〜 −100程度の評価でも十分自分の研究に持ち込める)。


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自然に☖32金型や☖22銀で飛車先を受けようとしても、横歩取り。対して辺鄙(へんぴ)な☖角打ちに、なんと上記の場面では☗☖飛車金交換で互角。それどころか銀上がり以外先手が良い。

このように角を打ったがために形勢が怪しくなり、☗65桂ピョンの手順が間に合ってきたりと、罠にハマると77桂が見事に活きてしまうのだ。序盤で刺さったらめちゃくちゃ気持ちいいと思う。


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もちろん、45角も互角。☗85飛車とかいう鬼手もある。

1ちなみに、ソフトに読ませても候補手の中にこういう手が出て来ないので、研究が面倒くさい。
ソフトは意外と堅実派。


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例えば、ここは☖23歩を打たず、☖33桂が最善らしい。分かるかよ。
また、先手の横歩取りの筋にうっかり歩で受けちゃうと、☖の飛車先歩交換が無駄になるのも辛い所である。☗58玉の形を見て分かるとおり、後手は駒組制限をされるのに先手は早々にかなり隙なく組めるのも大きい。

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ネット対戦でこういうことされたら、コイツキモ…… って言うと思う。
早指しなら時間使わせるだけでも十分だよね。
こっちは答え知ってるんだし。




⚫基本の駒組

後手からは飛車先をすぐに交換せず、先に矢倉を組んでおくのがオススメである。これで後手だけ歩を取ることができる(ちなみに、☖が横歩を取る手は基本的に☗の角打ちの方が厳しく、また手損が大きいため、☗は別に悪くならない)。普通はこちらの展開が多いだろう。


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これが基本形となり、飛車側の歩は☗36歩 → 46歩の順番で付く。これは何気ないが、☖89角の急戦に備えた手である。

相手からすれば、☖89角打ちだけでなく、87に歩や角をぶち込む手も見える。評価値は短期的には-100 〜 -200くらいに振れるのだが、☗37銀などと上がる手が玉の逃げ道を広くしており、互角の形勢に出来るのだ。

急戦ではいきなり角と金銀を交換されたり、と金を作られるのだが、77桂で飛車先を止められるし、☖の飛車先が重すぎて香車取りくらいしか手がなく、二枚角の先手も戦える形勢だ。


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超序盤の説明では、☗87歩と飛車先を受けた形を紹介したが、先に矢倉を組まれた場合はこのように、☗88銀方で受けて、歩を打たなくて済むのがこの形の唯一のメリットである。飛車先を交換させることで、こちらも歩による攻め筋が広がってくるのだ。



⚫ソフト検討


https://youtu.be/VjhjKugnQn0


この動画は77桂型角換わりの仕掛けの一例。
序盤ばかり説明していたが、こちらは普通の角換わりのように駒組を進めて、仕掛けた場合の変化となる。

77桂型の課題としては、この動画のように全力で5筋を受けられたり64歩と左桂を邪魔されたときに、桂を捌くのが難しいという点である。この場合は、桂頭を攻める手が気になるところだが、桂頭を付けば☖にも隙が生まれるため、一局の将棋となる。

45桂の筋が基本となるので、45桂ソムリエになりたい方にオススメの戦法かもしれない。

先手番・対中飛車の手順


【概要】

基本的に、こいなぎ流右玉を使う。
また、組めなかった場合の保険として、普通の居飛車形の対策も覚えておく。

こいなぎ流右玉は、血の気が多いやつらが多い中飛車の棋風的に、相手が強ければ強いほど駒組の途中で受けてから攻める手順になりやすい。
これで三切れ七段のこいなぎ流右玉側が負けてたりするので、しっかり受ける手順を網羅しきってから、攻め方を覚える方が安全。
攻めさえ間に合えば中飛車から出来ることはほぼない。マジで玉戻って居飛車に戻すくらい。
中飛車としては、せめて急戦に持ち込むことが必須だ。


https://youtu.be/NvFyTKI1QOY



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⚫32金型中飛車


中飛車に限らず、☖は他の振り飛車や、嬉野流、雁木、後出し角換わり等にも合流。この形は個人的に手順が難しい局面のひとつ。

☗が全戦型に対応しやすい手順としては、① 飛車先、② 角道、③ 飛車先、④ 36歩、⑤ 46歩、⑥ 58金、⑦ 78銀(左美濃完成)、⑧ 左玉 、⑨ 右銀か端(48銀、38銀)だろうか。

☖が32金型である場合は、基本的にこの手順にしておけば、端などで長々と戦型を保留されても対応が楽である。保留され過ぎた場合はどうしても左玉にせざるを得ないのだが。


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ちなみにいうと、☗48銀型の方が、すぎうら氏愛用の45歩早仕掛けのような攻めはしやすいので、ひねって四間飛車居飛車などの違う戦型にしてきた場合の対策もしておいた方が良いだろう。

細かいが、例えば☖から後出し角換わりやりたいです(金で一手損して取るやつ)、と言われたとき、48銀型だと単純45桂速攻が結構やりすい。ここで☗38銀だと、端歩型45桂速攻との兼ね合いを取りつつ、嬉野流なんかの対策である棒銀がしやすいメリットはあるものの、45桂の速さを活かせないのが悩みどころである。折角二手も早いのに。


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例えばこういう手順に、☗38銀型をどう活用するのか。ここからこいなぎ流右玉は、悪くはないものの、歩交換から角道を☖に一方的に通されやや☗は気持ち悪い。
正直、左美濃に組むだけで +200〜350 良いのなら、ここでは地下鉄飛車にするのが妥当だろうか。





⚫戦型保留型中飛車(角道閉じ)


角道を開けて閉じてくるタイプ。凡そは32金型と同じで左美濃の流れだが、最序盤の展開が若干変わってくるのと、☖はさらに戦型を保留出来るので、下手な手順をすると研究が出来なくなることに注意したい。個人的には、振り飛車を指すならこんな風に最大まで戦型を保留して、居飛車の隙を突く振り飛車オールラウンダー党がかっこいいと思う。居飛車穴熊に組まれても振りミレとか組んでみたい。


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後手番はハチワンシステムのごとく、こんな風にめちゃくちゃ戦型保留できるのが良いところだ。普通に雁木もあるし、引き角もあるし、振り飛車もある。先手としてはめんどくさい。

1筋の端は受けなくてもよいのだが、王も囲わず早々に☖が地下鉄飛車を狙われると、こいなぎ流右玉では−150〜−300くらい悪く、面白くない。


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というのがあるので、右銀と玉の入城は保留したいのだ。

左の9筋は受けないと攻めがなくなるが、1筋は受けるとお手伝いになりかねないことに気をつけて、端角を見せたのタイミングに突き返したりと、居飛車には若干の手順の工夫が求められる。
同じ戦型でも、こいなぎ流左玉なら先手優位のままだ。




⚫角交換型中飛車


例えば先に角交換されると、この場合はこいなぎ流右玉にはしづらい。この場合だけは別の中飛車対策を目指そう。

ちなみに、左美濃の手順ではこいなぎ流右玉を目指そうとする途中で5筋を突かれ、角交換と歩成りを見せてくるパターンにも注意したい。形によっては無理やり歩角と金金の交換がはじまる。

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ただ、評価値的には悪くならない無理攻めの傾向があるので、自信があるなら前述した美濃の手順にしておいて、攻めを誘導してから反撃するのも有力だ。特に級位者は、無理やり金を取りたくなるのではないだろうか。





⚫端角中飛車


普通にこいなぎ流右玉に組める。歩をつかせないようにしてきてもどうせ端歩を突けば帰らざるを得ないし、むしろ後手は手損感がある。


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ここで注目したいのは、普通のこいなぎ流右玉と違って居飛車側が端歩を突いてしまっていることだ。この手順によって中飛車側の攻め筋が若干変わってくることに注意したい。

ちなみにいうと、速攻で飛車先を付いてこんな風に無理やり金を取りに来る手があるのだが、この場合は飛車を取って、ちゃんと受ければ+1000になる。


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間違うと良くて+250くらいになって面倒臭い。




⚫都成流調端角中飛車


他に面倒な中飛車あるかな、と考えていたら思いついたやつ。☖32銀 → ☖14歩のメイドシステムと都成流と相掛かりを混ぜたような手順だ。
ここから中飛車は全然有力ではないのだけれど、やはり都成流のような駒組では居飛車を逆襲するような筋に注意。

都成流中飛車の場合は、飛車先交換されても、桂馬に紐をつけているので端角が出て色々出来るよう。とはいえ評価値的にはぜんぜん有力ではないのだが、下手な手順を指すと面倒くさいことになるし、完璧な応手は難しいかもしれない。


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⚫居玉中飛車


こういうの級位者的には多い。飛車を振り直す筋もあるし中飛車的には独自の研究に持ち込んだりと、以外とやれそうな形だ。
とはいえ、桂馬とか跳ねた局面になるとほぼ形が決まってしまう。中飛車から狙うべきは、ここから☗の駒組を誘導して陽動居飛車にする手順など、柔軟に形を変えていく戦術だろうか。両桂が跳ねているだけよりは、そういう手順の方が狙い筋が広がってくる。下手な中飛車対策をするとそれを逆手に取った研究形に持ち込まれてしまうため、この手順は中々厄介かもしれない。


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⚫ノーマルゴキゲン中飛車


普通の中飛車ってノーマル中飛車っていうべきかゴキゲン中飛車って言うべきか悩む。

こいなぎ流右玉に組めればもちろん良いのだが、手順を工夫して中飛車にしてきた場合はこいなぎ流右玉だけでなく、前述したように、サブの戦法として一般的な居飛車による対策や、独自の対策を採用する方が良い場合もある。相手にこちらの傾向を絞らせないのも戦法のひとつだ。


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