先手番・77桂型角換わり(概覧)
【概要】
「横歩取りぜったいやりたくねえ〜」と思っていたら見つけた素敵な戦型。横歩取り調の出だしでも、角を上がって無理やり77系型の角換わりにしちゃう。
33金型早繰り銀じゃないよ。
⚫序盤の狙い
横歩取りの出だしでこのように角を上がる。
この時点では☖も大抵は金を上がっているが、上がっていない場合は独特な序盤変化の可能性が出てくるので、先にそちらを解説。
ソフト的には左銀は☗88銀として菊水矢倉にしたいそうだが、この場合は銀を放置して歩を受け、飛車先を優先してみよう。
横歩を取ると角打ちの隙などが見えるのだが、それが実は罠であり、+100 〜 +600 くらいの変化が出てくる。(序盤の罠にハマらなくても、戦型が固定しやすいし、受けの展開か既知の展開にさせやすいので、+50 〜 −100程度の評価でも十分自分の研究に持ち込める)。
自然に☖32金型や☖22銀で飛車先を受けようとしても、横歩取り。対して辺鄙(へんぴ)な☖角打ちに、なんと上記の場面では☗☖飛車金交換で互角。それどころか銀上がり以外先手が良い。
このように角を打ったがために形勢が怪しくなり、☗65桂ピョンの手順が間に合ってきたりと、罠にハマると77桂が見事に活きてしまうのだ。序盤で刺さったらめちゃくちゃ気持ちいいと思う。
もちろん、45角も互角。☗85飛車とかいう鬼手もある。
1ちなみに、ソフトに読ませても候補手の中にこういう手が出て来ないので、研究が面倒くさい。
ソフトは意外と堅実派。
例えば、ここは☖23歩を打たず、☖33桂が最善らしい。分かるかよ。
また、先手の横歩取りの筋にうっかり歩で受けちゃうと、☖の飛車先歩交換が無駄になるのも辛い所である。☗58玉の形を見て分かるとおり、後手は駒組制限をされるのに先手は早々にかなり隙なく組めるのも大きい。
ネット対戦でこういうことされたら、コイツキモ…… って言うと思う。
早指しなら時間使わせるだけでも十分だよね。
こっちは答え知ってるんだし。
⚫基本の駒組
後手からは飛車先をすぐに交換せず、先に矢倉を組んでおくのがオススメである。これで後手だけ歩を取ることができる(ちなみに、☖が横歩を取る手は基本的に☗の角打ちの方が厳しく、また手損が大きいため、☗は別に悪くならない)。普通はこちらの展開が多いだろう。
これが基本形となり、飛車側の歩は☗36歩 → 46歩の順番で付く。これは何気ないが、☖89角の急戦に備えた手である。
相手からすれば、☖89角打ちだけでなく、87に歩や角をぶち込む手も見える。評価値は短期的には-100 〜 -200くらいに振れるのだが、☗37銀などと上がる手が玉の逃げ道を広くしており、互角の形勢に出来るのだ。
急戦ではいきなり角と金銀を交換されたり、と金を作られるのだが、77桂で飛車先を止められるし、☖の飛車先が重すぎて香車取りくらいしか手がなく、二枚角の先手も戦える形勢だ。
超序盤の説明では、☗87歩と飛車先を受けた形を紹介したが、先に矢倉を組まれた場合はこのように、☗88銀方で受けて、歩を打たなくて済むのがこの形の唯一のメリットである。飛車先を交換させることで、こちらも歩による攻め筋が広がってくるのだ。
⚫ソフト検討
この動画は77桂型角換わりの仕掛けの一例。
序盤ばかり説明していたが、こちらは普通の角換わりのように駒組を進めて、仕掛けた場合の変化となる。
77桂型の課題としては、この動画のように全力で5筋を受けられたり64歩と左桂を邪魔されたときに、桂を捌くのが難しいという点である。この場合は、桂頭を攻める手が気になるところだが、桂頭を付けば☖にも隙が生まれるため、一局の将棋となる。
45桂の筋が基本となるので、45桂ソムリエになりたい方にオススメの戦法かもしれない。